21世紀の鍼事情

 現在の日本では東洋医学的な物理療法としては、鍼治療と、灸治療が一般的です。
 それぞれの効果は別として、医療としてのリスク面を考えると、こと鍼治療については肝炎などに関する感染リスク、折鍼などの物理的なリスク、そして施術者の技術が未熟な上に起こる、気胸や神経や血管などの損傷に対する医療過誤などがあげられます。
 
 最近も野球界において、鍼灸師の資格を持つトレーナーの施術が原因?と言われている医療過誤と思われる出来事によって、選手が登録抹消された事案がありました。
 
 また規制緩和の先駆けか、ここ十数年前から鍼灸師の養成学校が乱立する事で、教育のレベルが低下している事も否めません。
 また外科手術以外で、皮膚面から皮下組織や筋肉を侵襲(生体を傷つけること)すると言う行為に対して、ネットなどで医療知識を得るようになった患者さんの恐れが高まっている事も忘れてはならない事です。

 専門学校(養成校)は国家資格を取得するまでは面倒を見てくれますが、そこから先は面倒を見てくれません。
 まして養成校では実技面での実践的な治療法を教えてくれるところも少なく、おまけに鍼灸の需要層は先細りな状態であり、鍼灸師の資格だけを取った若者たちの中で、鍼灸の資格と技術で、将来自立して行ける人たちはどれだけいるのでしょうか?
 こんな状態で果たして東洋医療の、特に物理的な東洋医療の将来は明るいと言えるのでしょうか?

 以上の様な鍼灸業界の将来に対する不安からも、私はこの〝ペインフリー〟を普及したいと願うようになりました。
 このテープは誰でも簡単な方法さえ覚えれば、驚くような鎮痛や、筋肉の弛緩効果が得られますが、さらに東洋医学の知識があれば、もっと高い効果を求める事も可能なのです。
 また簡単な運動と組み合わせる事で、さらに効果を高める事も可能であり、トリガーポイント療法や、筋膜リリースの手段としても大きな効果が期待できます。

 21世紀の今、古典的な鍼治療を継承する事が重要である事は間違いありません。
 しかし生体を傷つけることなく、鍼治療より簡単で、安全で、かつ鍼治療と同等かもしくはそれ以上の効果を得られる方法があるとすれば、今後は鍼治療の一部(運動器の痛みや、筋肉の緊張緩和)にでも置き換える、または鍼治療を補完する(鍼治療の効果をより高める)方法として、後世に伝えて行きたいと言うのが、私の偽らざる本音なのです。